2023年 Basic東京 第2回
【学習は環境依存?】
モーション・パルペーション研究会、東京の西村です。
5月28日に東京Basicコースの2回目の講義がありました。内容につきましては、先行して開催した大阪での振り返りを中田先生の方から投稿をしていただきましたので、今回は受講の際に役立つ「技能獲得に対する脳神経学」を1つご紹介したいと思います。
こんな悩みを感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「勉強会中に気づいた(できるようになった)ことを、仕事に戻って臨床中にやってみるとうまくできないことがある」私もよく苦悩しました。
そんな悩みの方に、1970年代に発表された心理学の研究をご紹介します。
D.R.ゴッデンとA.D.バドリーによるもので、実験の内容は、大学のダイビング部の学生18人に対する暗記のテストです。ポイントは、暗記のテストを約6メートルの海の中と陸上の両方で行ったことです。海の中で覚えた言葉のリストを、そのまま海の中でテストした場合と陸上に上がってからテストした場合、あるいはその逆で陸上でテストした場合と海の中に潜ってテストした場合のスコアを比較したものです。
結果は海中で覚えた単語は海中の方が、陸上で覚えた単語は陸上の方がスコアが良かったのです。つまり、環境が変わると、覚えた単語をうまく思い出せなくなってしまうのです。何か能力を身につける段階においても、学習しようとしている内容とは関係ないはずの様々な環境要因が、学習に関与しています。ということは、練習においても臨床に近い条件を何か加えていくことで、臨床中に力を発揮できるようになるのではないでしょうか。
例えば、問診を加えてみたり、普段使っている施術ベッドに近いものを選んでみたりなど、臨床中に行っている環境要因を練習中にも取り入れてみてください。自然とセミナー内で学んだことが実践しやすくなると思います。ぜひ取り入れてみてください。
2022年 Basic東京 第2回
こんにちは。MPSG東京、アシスタントの福田です。
5月15日(日)、受講者全員出席のもとBasicコースの第2回が開催されました。午前中は、西村先生による脊柱モーションパルペーションの前回の復習と、今回の講義内容である仙腸関節モーションパルペーション(ギャッピング検査、PI・AS検査)、PI・AS腸骨モビリゼーション、そして午後からは内海先生による股関節の第1回目(大転子の触診、SLR検査、股関節の内旋・外旋可動性検査・マイクロ牽引法)が行われました。
まずは、手の触診感覚を鋭くするための立ち方、立ち位置を復習しました。立ち方としては、フェンサースタンスをとって、さらにベッドに寄りかかることで下半身が安定します。下半身が安定すると、上半身は自由に使えるようになり、手の感覚が鋭くなります。
また、スタティックパルペーションの立ち位置としては、脊柱に近すぎず遠すぎず、C7~骨盤までが無理なく触診できる場所に立つことで、感覚を損なうことなく検査することができます。
実際にはベッドの高さや患者さんの身長に合わせて、その時々で自分に合ったフェンサースタンスの歩幅や立ち位置を微妙に変える必要があるので、常に意識して立つことが大切です。
このように、とても奥の深いものではありますが、フェンサースタンスは、これから学んでいく多くの検査や治療において、応用された形で使われますので、ここでしっかり身につけることが大切だと思います。一夜にしてできるのもではありませんので、じっくり時間をかけて、立ち方、立ち位置を意識しながら日々練習していきましょう。
今回の講義内容である仙腸関節モーションパルペーションは、仙腸関節の可動性を検査(ギャッピング検査)し、硬い(フィクセーション)側を見つけて、その側がどういう変位(PI、AS)をしているのかを実習しました。ギャッピング検査は、PSISの内側においた手の奥深くにある仙腸関節の可動性を見極める難しい検査ですが、「置いた手の先の動きを感じとる」と言うイメージで検査することで、表面の振動に惑わされることなく、しっかり奥底の微振動の有無を感じることができるようになります。
四肢の1回目は股関節でした。股関節においても、フェンサースタンスの重要性を学びました。術者がリラックスしていなければ、患者はリラックスできません。患者がリラックスできなければ、正しい検査や治療はできません。まずは、術者がリラックスすることが必要であり、そのためには、ベッドに寄りかかりフェンサースタンスで立つことが鍵となります。
今回は、前回よりも実技に多くの時間が割り当てられ、より充実した実技となった分、骨盤だけでも、5つの検査と治療法を学びましたので、頭の中が混乱した人もいらっしゃったと思いますが、順序だてて覚えていけば問題ありません。
「百聞は一見に如かず」MPSGの勉強会は、知識を得るだけでなく、その得た知識を実際にやってみて、「これなんだ!」と、その場で感覚を学べるところが最大のメリットです。そのメリットを生かして、今後もさらに技術を磨いていって頂ければと思います。
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